大雪山・山守隊 2年目の抱負 代表・岡崎

 山守隊・代表の岡崎です。去る3月28日、大雪山・山守隊は法人となってからまる一年が経ちました。この一年で73名の個人、7社の企業・団体が山守隊に入会していただき、北海道から九州まで、多くの方々からご支援をいただきました。

 

 下條さん、菅原君とともに「小さなことをしっかりと積み重ねる」という意識のもと、少しずつ行動してきました。ですが、途中からは想像以上の応援、助言があり、どんどん背中を押されて進み始めた気がします。

 この一年だけでなく、今までを見てくれた方々が、陰ながらに応援してくれていることをはっきりと感じながら、様々な分野のプロフェッショナルの助言は、猛烈な勉強となって日々成長させてもらっています。

支援者の方に作成していただいたステッカー


 このような皆様の応援があるのも、山が好きで、山を気にして、山を憂いている方々がいてくれるからだと思っています。山守隊スタッフも同じ気持ちを持ち「自分は山へ何ができるのか」を考え、小さな行動を合わせていくことが重要なんだとあらためて気づかされます。

 大雪山で起きている諸問題は、もはや個人や一団体、一行政だけでは解決できないほど深刻になっています。ですが、管理者や山関係者だけでなく、ジャンルを超えて広く見渡すと大雪山を見守っている人はたくさんいることに気が付きます。その方々が「自分も何かするよ」というメッセージを出していることに気が付いたことが、この一年の一番嬉しいことでありました。

け水に流されそうになりながら、原始が原の視察

 山守隊は今、様々な人と共に大雪山の各地域や人をつなげ、オール大雪山としての広い土台をつくろうと行動しています。

 自然工法を学んでいた時、先生から、石組を高く積みたいならまず土台を広くすることだ、と教わりました。土台が広くしっかりするほど、高くなっても崩れずに積みあがると。

生態系も底辺を担う土台が育てば、しっかりとした生態系のピラミッドがおのずと作られると言われています。

 人をつなげ、大雪山としてしっかりした土台を担えるよう努力していきたいと思います。

 個人的には、10年以上前に思い始めたイメージがようやく形になり始めました。

 登山道整備を学び始めた頃、どうすれば大雪山全体が直っていくのかを想い、仲間もなく、拙い知識のなか、自分の出来ることとして

「登山道整備の高度な技術・技術者を育てる資金」を作ることが必要と考えました(今はそれだけでは足りないと思いますが・・)。


山岳業務のほかに農業も。土を見て生態系を考え植物を育てる。山も農も根底は同じ考え方で。

 時間はかかりましたが、近自然工法を学び施工技術を身につけ、全国の山岳現場で自然を復元させることができるようになりました。

 山岳業務は賃金が低く、とても複数の技術者を育てられる業務ではありませんが、農業を兼業することで山以外の収入で雇用できる状況が目前となりました。どれも様々な人の協力や尽力があって進んでいます。

 

 

 そして山守隊として、山岳関係者だけでなく、登山者や一般の方々と大雪山とつなげることで、山岳管理システムを見直すきっかけを提示できるようになりました。

 

・北海道山岳整備として施工技術を高めること

・おかファームとして雇用を作り、業務に精通した人を育てる

・山守隊として人をつなげること

 

れらが廻り始めた時、少しずつ何かが動きはじめるかな・・と思っていましたが、予想を超える提案、協力、援助があり、今後は想像以上の展開が起きるような気がしてなりません。

 身の丈以上のオファーも多々あり、力不足を感じるときもありますが、すぐに助言や支援があり、もう岡崎、下條、菅原の3人だけの力で動いているわけではないと感じることができます。忙しさでくたばりそうなときもありますが、とても楽しくやらせてもらっています。

 

 

整備イベントで施工した箇所に育ったチングルマは2年目に成長し、

あらたにエゾコザクラの芽吹きも確認できた


作業中、ふと見ると御鉢の中で草を食べるヒグマ。この環境を大事にしていきたい。

 

 

 

 これからも「大雪山との共存」という大きな目標から外れずに、「自然に合わせる」感性を持ち、たくさんの回り道、寄り道をしながら、良くなっていく大雪山の「きっかけ」を皆様とともに作り上げていきたいと思います。 

 今期も大雪山の登山道でお会いできることを楽しみにしております。

                                            

 

 


一般社団法人大雪山・山守隊 代表 岡崎哲三